HDの各種方式 / フィールド周波数とフレームレートの関係

HDの各種方式

HDとはHigh Definition TeleVisionの略で、いわゆる「ハイビジョン」と同義のものです。
このHDビデオにはいくつかの方式がありますが、代表的なものには以下のような方式があります。

・1080/59.94i

画素数1920×1080pixel、インターレース方式の規格です。
一般に「1080」とか「1080i」と省略してよばれています。
フィールド周波数は59.94Hz、フレームレートが29.97fpsの規格です。
かんたんに言ってしまえば、NTSCの高精細版というような方式です。
放送用原版として最も多く用いられる規格です。
代表的な収録テープ:HDCAM、HDCAM-SR、HDD5

・1080/29.97P(29.97PsF)

画素数1920×1080pixel、プログレッシブ方式の規格です。
PsFとは「Progressive segmented Frame」の略で、
奇数フィールドと偶数フィールドの両方に同じ画を収録することでプログレッシブと同様の映像を収録する方式です。
感覚的には30コマのフィルムをテレシネした状態に近いかと思います。
代表的な収録テープ:HDCAM、HDCAM-SR

・720P

画素数1280×720pixel、フレームレートが59.94fpsのプログレッシブ方式です。
代表的な収録テープ:DVCPROHD、HDD5 HDCAM-SR

フィールド周波数とフレームレートの関係

インターレースビデオでは、映像(1フレーム)を奇数番号の走査線と偶数番号の走査線を
半分づつ順番に描画するわけですが、その描画の周期を表すのがフィールド周波数です。
ですから、インターレース規格の場合はこの数字の半分がフレームレートを指すことになります。
プログレッシブ規格の場合は一回の描画で1フレームを描ききるため、この数字がそのままフレームレートとなります。

ここで注意したいのが、「59.94i」と「60i」の違いです。
よく「59.94i」のことをざっくりと「60i」と呼び習わすことがありますが、これは本質的には間違っています。
「59.94i」はNTSCの拡張のような面があり、NTSCのフィールド周波数をそのまま引き継いでいるのに対して
「60i」という規格も別に存在し、これはジャスト60Hzのフィールド周波数で動作します。
(とはいえ、現実問題として「1080i」といって「1080/60i」を指すことはありません。
「60i」は結果的に普及しなかったアナログハイビジョンの周波数であり、
その場合、有効走査線数が1080ではないからです。)

同様の理由で「23.98P」と「24P」も厳密には別なものです。
「24コマで撮影したい」というシチュエーションで、放送用素材の場合は
23.98P(23.98PsFでも同様)をおすすめします。
(秒間30コマに対しての24コマは80%のコマ数です。
これを29.97Pに適用すると23.976P、つまり23.98Pとなるからです)

author:ビットビジネス部 成瀬友弥